小説

『螺鈿迷宮』上下

『螺鈿迷宮』上(角川文庫)/著者:海堂尊 やはりこの著者は、安定した面白さと読みやすさで、安心して読めますね。個人的に全く興味のなかった医療分野の物語なのに、この著者にかかっては面白く読めてしまうんだから、毎回毎回ビックリです。この物語は、…

『ジェネラル・ルージュの凱旋』上下

『ジェネラル・ルージュの凱旋』上下(宝島社文庫)/著者:海堂尊 『チーム・バチスタの栄光』に続く、東城大を舞台としたシリーズ第3弾。今回は前2作に比べるとサスペンス色が薄く、ミステリ…というか、社会問題を取り上げたノンフィクションを読んでい…

『ナイチンゲールの沈黙』上下

『ナイチンゲールの沈黙』上下(宝島社文庫)/著者:海堂尊 『チーム・バチスタの栄光』に続くシリーズ第2弾。前作『バチスタ』と比べると、今回の物語は、幾分か非現実的にも感じられましたが、相変わらず読みやすさと面白さは健在。早々から物語に惹き込…

『チーム・バチスタの栄光』上下

『チーム・バチスタの栄光』上(宝島社文庫)/著者:海堂尊 これはスゴイ! 読み始めて早々から惹き込まれてしまいました。読みやすいのに、とても面白い! 何より登場人物のキャラがいいですよね。そこが作者の筆力、というものなのか、各々の人物像がすご…

『夜のピクニック』

『夜のピクニック』(新潮文庫)/著者:恩田陸 歩行祭、などという歩くだけな行事自体に何の意義も見出せないモノグサ太郎でナマケモノなワタクシですが、これはまいりました。ただひたすら歩いているだけの小説が、なんでこんなにも心を揺さぶるんだろう。…

『ユージニア』

『ユージニア』(角川文庫)/著者:恩田陸 アオリの『日本推理作家協会賞受賞』。…実は恩田陸作品に関しては、個人的に“少々難解にも感じられるくらい現実感が希薄で後味のあまりよろしくない話”という先入観があるもので(^.^;)、そんな作風で“めちゃくちゃ…

『イニシエーション・ラブ』

『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)/著者:乾くるみ まんまとミスリードされました。最後の最後でも何が起こったのかよく分からず、本を閉じて反芻してみて、ようやくああそういうことかと理解。ネタが分かってみれば、なるほどなあ…と、素直に驚嘆。…

『ララピポ』

『ララピポ』(幻冬舎文庫)/著者:奥田英朗 コレをどうやって映画化したんだろう? よもやR-18? …と真っ先に考えてしまったくらい、全体的にエロに偏った作品でした。でも面白かったけどね。連作短編集ということで読みやすかったし、読み進めていくごと…

『容疑者Xの献身』

『容疑者Xの献身』(文春文庫)/著者:東野圭吾 これまでの2冊とは形式を異にした、ガリレオシリーズ初の長編。なので、この1冊まるまる使って『容疑者Xの献身』onlyです。別の話は入ってません。だからなのか、これまでに共通した軽妙さはなりをひそめて…

『予知夢』

『予知夢』(文春文庫)/著者:東野圭吾 前作『探偵ガリレオ』に引き続き、同形式の連作短編集。相変わらず面白く読めますが、前作ほどに新鮮味やインパクトは無いかも。ただ、前作よりはコッチの方が、ややネタにオカルト度が増していると思います。 【関…

『探偵ガリレオ』

『探偵ガリレオ』(文春文庫)/著者:東野圭吾 連作短編集だから、ということもあったのか、とても読みやすかったです。どこかで引っ掛かることもなく、サクサク読み進められました。長編をジックリ堪能するほどの時間は無いけど本格ミステリ読みたいな、っ…

『魔王』

『魔王』(講談社文庫)/著者:伊坂幸太郎 これは、とっかかりから結構おもしろく読めて、読んでくうちにぐいぐい物語に引き込まれていくんだけど…最終的にオチが無い、と思った。この1冊には、表題作を含む2話が収録されているんだけど、そのどちらも“こ…

『死神の精度』

『死神の精度』(文春文庫)/著者:伊坂幸太郎 うん、これも普通以上に面白い作品、だと思う。でも、個人的にどうも入り込めきれなかった感が、なきにしもあらず。…というのも、これを読む直前に同著者の『グラスホッパー』を読んでいたので、その殺伐とし…

『グラスホッパー』

『グラスホッパー』(角川文庫)/著者:伊坂幸太郎 やはり、さすが伊坂幸太郎、とでも云うべきか、相変わらず読むごとに物語に引き込まれてゆくし、情景が目に浮かぶような描写力もすごいし、総合的には面白い、…んだろうとは思うけど。でも、個人的には好…

『チルドレン』

『チルドレン』(講談社文庫)/著者:伊坂幸太郎 これは面白い! これまで読んだ伊坂作品に個人的に感じていた“とっかかりの悪さ”というものがホトンド無く、読み始めてしまえば最後までスッと読めてしまいました。オビのアオリの『伊坂幸太郎、まずはコレ…

『空の中』

『空の中』(角川文庫)/著者:有川浩 以前から漠然と興味だけはあったんですが、紹介文など読んで、軍モノは苦手だし…と、これまで読むの躊躇してたところがあったんですが、同著者の『塩の街』を読んで、このひとの軍モノなら読めるかも…と、購入に踏み切…

『西の魔女が死んだ』

『西の魔女が死んだ』(新潮文庫)/著者:梨木香歩 どうってことない当たり前にあるような田舎の日常の物語なのに、どうしてこんなにも心に響いてくるんだろう? どうしてこんなに懐かしくも感じるんだろう? そんな描写の中で、まいを想う西の魔女のあたた…

『火車』

『火車』(新潮文庫)/著者:宮部みゆき フと思い立ち、かれこれもう何年ぶり? ってくらいにチョー久々〜の再読。でも、これは何度読んでも面白い。一度読んで結末は分かっているハズなのに、それでも読み始めたら物語に惹き込まれて止まらなくなって、気…

『シャドウ』

『シャドウ』(創元推理文庫)/著者:道尾秀介 これは…ミステリのようであり、はたまたホラーのようでもあり…でも結局は、家族愛を描いた物語、ということになるんではないだろうか。いろいろな人物の視点から語られていることもあって、“これ!”ってキャラ…

『背の眼』上下

『背の眼』上下(幻冬舎文庫)/著者:道尾秀介 これは、いわば推理小説…になるんだろうけど、まずオカルトありき、の推理もの。そういうのは、わりと珍しいかもしれない。オカルトがらみ、というとやはり、京極夏彦著の某シリーズとカブってる? なんてこと…

『骸の爪』

『骸の爪』(幻冬舎文庫)/著者:道尾秀介 真備・道尾コンビの2作目。前作『背の眼』に比べ、この『骸の爪』は、霊的要素が足りなかったですねー(苦笑) 導入は、やはり道尾が霊現象的なものを体験し、それに興味をもった真備が動き出す、ってな“お約束”…

『押入れのちよ』

『押入れのちよ』(新潮文庫)/著者:荻原浩 ホラーとかオカルトっぽいテイストの短編作品集である、この1冊。私は、表題作の『押入れのちよ』が一番スキかな♪ 幽霊のちよはあんなにも愛らしいのに、それがゆえにか、生前のちよが切なすぎる。この作品だけ…

『ボトルネック』

『ボトルネック』(新潮文庫)/著者:米澤穂信 面白い作品、だとは思う。読んでいくうちに惹き込まれてしまったし、自分をボトルネックに例える主人公に共感して切なくなった。でも…それゆえに読んでいてイヤな気持ちにもなったし、後味も悪かった。自分と…

『さよなら妖精』

『さよなら妖精』(創元推理文庫)/著者:米澤穂信 読みながら、“こうならないで欲しいなあ…”と願っていた結末そのままを迎えてしまったので、読了感は、かなりやるせなかったです。でも、それに至るまでは、ある意味、米澤穂信作品らしい“日常の謎”が随所…

『安徳天皇漂海記』

『安徳天皇漂海記』(中公文庫)/著者:宇月原晴明 時代や国を超えてさえ全ての事象が安徳天皇へと帰結する、という鮮やかさ…こんなにも荒唐無稽な物語にこうまで説得力を持たせている作者の筆力たるや、本当にスゴイ! と、読み終えてタメ息です。私的には…

『四畳半神話大系』

『四畳半神話大系』(角川文庫)/著者:森見登美彦 この著者の作品は、どれを読んでも男汁が全開な物語ばかりで…(苦笑) これまで読んだ中で唯一の例外は『きつねのはなし』くらいですね。でも、そこがこの作者ならではの独特な面白みだと思う。それによる…

『鴨川ホルモー』

『鴨川ホルモー』(角川文庫)/著者:万城目学 なんか…評するのに困る作品だなあ…(苦笑) でも、文句なく面白い作品、であることには間違いないです。現代を舞台とした小説に、“日常の中の非日常”という要素が織り込まれることを許容できる人であれば、と…

『永遠。』

『永遠。』(講談社文庫)/著者:村山由佳 すごい“いいなあ…”っていうジンワリとした感動に浸れる物語。こういう雰囲気、すごく好き。ただ…いかんせん分量が短すぎる!(涙) ただでさえ薄っぺらい本の、その1/3があとがきで、実質の分量は2/3だけ。…

『陽気なギャングの日常と襲撃』

『陽気なギャングの日常と襲撃』(祥伝社文庫)/著者:伊坂幸太郎 個人的には、前作の『陽気なギャングが地球を回す』よりは今作の方が面白い、と感じたかも。やっぱ今作の方が伏線の張り方も巧妙だったような気もしましたしね。先の読めない息をつかせぬ展…

『片眼の猿―One-eyed monkeys』

『片眼の猿―One-eyed monkeys』(新潮文庫)/著者:道尾秀介 道尾秀介作品を読むのは『向日葵の咲かない夏』に続いてこれが2作目なんですが。両作品に共通して感じたのは、最後の最後まで引っ張られたあげくに裏切られる、ってこと。ホントこの作者さんは…