『鴨川ホルモー』


 『鴨川ホルモー』(角川文庫)/著者:万城目学


なんか…評するのに困る作品だなあ…(苦笑) でも、文句なく面白い作品、であることには間違いないです。現代を舞台とした小説に、“日常の中の非日常”という要素が織り込まれることを許容できる人であれば、とても面白く読めるんじゃないでしょうか。ヒトコトで言えば、大学生を主人公とした青春小説、となるのでしょうが、そこに〈ホルモー〉という競技(?)の存在が欠かせません。ホルモーありきの青春小説。その設定には、“なるほどなあ…”と唸らされ、登場人物たちの個性に笑わされ、読みどころは充分だと思います。広がった風呂敷も上手い具合に纏まって収まってくれるし。とはいえ…どことなく楽しみきれなかった感じもするのはなぜなのか。ホントに何となく、なんですが、すべて“予定調和”の如く、いやにアッサリ読みきってしまった感があることも否めないですね。その気軽さも良いは良いのですが、もうちょっと色々と深く掘り下げて欲しかった気もしないでもない。この作品は映画化されているようなので、そっちも観てみたいです。ホルモーの試合風景など、やっぱ文章よりも映像で見る方が理解しやすいと思うし。
万城目学作品はこれが初めてですが、ほかの作品も読んでみたいです。