『ナイチンゲールの沈黙』上下


  『ナイチンゲールの沈黙』上下(宝島社文庫)/著者:海堂尊


チーム・バチスタの栄光』に続くシリーズ第2弾。前作『バチスタ』と比べると、今回の物語は、幾分か非現実的にも感じられましたが、相変わらず読みやすさと面白さは健在。早々から物語に惹き込まれ、気が付けば上下巻一気読みしてました。読みきってシミジミ、これが映画化されなかった理由が何となく分かる気がするなあ…と。また、同名ドラマは観たんですが、あれはこの原作小説とは“名前と設定だけ借りた全くの別作品”だったことが、読んで初めて分かりました。…そりゃこのまま映像化は難しいだろうさ(^_^;) 個人的には、この原作をあんなふうに作り変え得たドラマスタッフを褒めてさしあげたいところです。むしろ、『ナイチンゲールの沈黙』というタイトルは、内容的には、この原作よりもドラマのストーリーにこそふさわしかったとも思えたしね。
余談ですが、タイトルの『ナイチンゲール』――これ、実在の「クリミアの天使」の名と美声を持つ鳥の名、その両方に掛かってあるんですよね? 今作のキーパーソン、白衣の歌姫にはピッタリなタイトルです。そして、対にあたる歌姫が『天窓の迦陵頻伽』とは。もう完璧なまでに美しい言葉の一対。本文読んでても思うんだけど、この作者、ネーミングセンスいいなー★


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