『空の中』


 『空の中』(角川文庫)/著者:有川浩


以前から漠然と興味だけはあったんですが、紹介文など読んで、軍モノは苦手だし…と、これまで読むの躊躇してたところがあったんですが、同著者の『塩の街』を読んで、このひとの軍モノなら読めるかも…と、購入に踏み切り★ ――結果、買って正解! 躊躇してたのがバカだったと後悔したくらい、すごく面白かったです! 自衛隊はからんでいましたが、そこまで軍モノっぽくもなかったし、やはり私の苦手とするSFジャンルだったんですが、そんなの全く気にかからずに読めました。そして、相変わらずこの作者の文章の吸引力はスゴイ! 有川浩作品を読むのは『塩の街』に続いて2冊目――『Story Seller』のようなアンソロジー本で短編なども読んでましたが長編をまともに読んだのは2冊だけです――なんですが、ともに苦手分野だったわりには最初から最後まで一気読みです。読んでるうちに、どうしても先が気になって気になって、途中じゃやめられなくなっちゃう。また、冷静に考えたらこのうえなく荒唐無稽なストーリーなのに、そこに説得力を持たせて違和感なく読ませてくれちゃうって、まぢスゴイ。さらに、そこにさりげなく恋愛ストーリーまで展開させてしまうところが、まさに神業ですよね。登場人物それぞれのキャラも立っているし、中でも高校生と大人の2カップルが、ホントいい♪ 緊迫する物語の中のなごみ要素でした。ホント、この作者の文章は、ホレボレするくらい読者を惹き付けて離さない魅力に溢れていますよね。あとがきで作者は『大人のためのライトノベルを書きたい』とおっしゃってましたが、まさに“その通り”の作品でした。大人のための上質のライトノベル。これはホントおすすめです! まさに、解説の新井素子氏の言うところの『絶対他人様に薦めたい本』、そのままです。私も全開で書きますよ、この言葉を。――『読め。面白いから。』