『死神の精度』


 『死神の精度』(文春文庫)/著者:伊坂幸太郎


うん、これも普通以上に面白い作品、だと思う。でも、個人的にどうも入り込めきれなかった感が、なきにしもあらず。…というのも、これを読む直前に同著者の『グラスホッパー』を読んでいたので、その殺伐とした内容でやや気分が滅入り気味だった所為も大きいんだろうな。それに比べれば、この作品は全然ライトで、軽いミステリ風な雰囲気もあって、短編連作形式だから長編よりも気安く読める、というものだろうけれど。だけど“死神”という存在が主人公である以上、やはりテーマに人間の死が中心に据えられていることは如何ともしがたく、結局、「また同じような…」という想いから抜けきれなかったんでしょうね多分。後から思い返してみれば、やはりこれはまぎれもなく私好みの“面白い作品”だったんですよ。1冊の中に、例の伊坂作品特有の“リンク”ってやつがちりばめられていて、そういうのこそmy好みですし、実際、気付いた時は「なるほど!」って小さな感動も覚えましたし。…だから惜しむらくはタイミング、だったんですよね。もうちょっと時間をあけて、普段どおりな精神状態で読んでいたら、全く違和感なく「面白い」と感じられただろうに。なんか惜しいことしたなー…(-_-;) いつか機会があれば、思い出した時にでも読み返してみたいと思います。
そういえばこの作品、金城武主演で映画化もされていたんですよね! 公開時に観はぐってしまったので(涙)、こっちもゼヒ観てみたいです。金城武の外見した“死神”って…とてもステキー★(*^.^*)