『ミミズクと夜の王』


 『ミミズクと夜の王』(電撃文庫)/著者:紅玉 いづき


思いのほか泣けて泣けて…読み終えてすごく心が温かくなりました。ヒネリやら含みやらを一切合切すべて取り払ったどストレートな展開に、グッと心わしづかみにされちゃいました。良質の童話を堪能したなあ、てカンジ? ミミズクを通して紡がれる世界は、だからこそ狭くて、残酷で、だからこそとても優しくもなる。そんな彼女のキャラクターこそが、孤独な夜の王の心と寄り添うにピッタリなんだろうな、と素直に思えました。ありがちなストーリーかもしれないけれど、それでも読者をぐいぐい惹きつけてくれちゃうのは、やはり作者の力量によるものなんだろうな。これがデビュー作ってスゴイ。この作品、あちこちで評判がよかったので試しに買ってみただけだったんだけど、やっぱクチコミって期待を裏切らないよね! 読んで損は無い逸品でした。何度でも読み返したくなります。