『妖怪アパートの幽雅な日常』1


 『妖怪アパートの幽雅な日常』1(講談社文庫)/著者:香月日輪


予備知識一切ナシの状態で読んだので、思いのほか泣けて泣けてビックリしました。じんわ〜り心にくる、ハートフルで温かい、良いお話。それに、なんといっても読み易い。講談社文庫、なんていう文芸レーベルから出てるので、ちょっと敷居の高そうなイメージもありましたが、1冊の厚みが薄いし、中を見れば字は大きいし、しかも語り口は主人公の一人称、云うなれば若者向けライトノベルに等しいですね。きっと慣れてる人なら1時間もかけずして充分に読了できてしまうでしょう。それくらい読み易いです。でも、内容は濃いです。読み易いおかげで、作者が伝えたいことが文章から顕著に伝わってきてしまうんだと思う。妖怪アパートの存在に、主人公と共に色々と考えさせられた気がします。特にクリ母のエピソードは痛かった。茜さんの言葉から、すごくやるせなさが伝わってきました。きっと、これは…現代社会で実際に起こっている同様の事例に対しての、作者のメッセージなんだろうな、と、なんとなく思ってみたり。
この作品は、本屋に平積みされていたこともあり、なんか人気もありそげだったので、面白いの? と、ちょっと興味を持ってみただけで、ストーリーとか全く知らないで買ってみたものだったんですが。いや〜良い買い物したな〜★ って、読んでシミジミ思えます。買ってよかったです。


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