『塩の街―wish on my precious』


 『塩の街―wish on my precious』(電撃文庫)/著者:有川浩


巷で話題の大人気作家、ということで、また、以前から『Story Seller』のようなアンソロジー本で短編作品を読んでいたことも手伝って、ようやく有川浩という作家に興味を覚えてきた昨今。…お恥ずかしながら、まともに有川浩作品を読んだのは、これが初めてです。何から読めばいいか分からなかったので、とりあえずデビュー作から、と思い、これを購入してみました次第。――実際に読んでみたら、これはもう“スゴイ!”のヒトコトですね! デビュー作でコレは、本当にスゴイと思う。なんなんだろう、この読み手を惹きつける吸引力は。目次を見た限りでは短編連作っぽい雰囲気だったので、とりあえず1章だけ、てなつもりで読み始めたら、もう止まらず、一気に最期まで読み切ってしまいました。しかも私、SFとか軍モノとかさほど好きなジャンルでもないのに、なんでこんなにスイスイ読んじゃえるの? ってくらいの勢いで。冷静に考えたら、ストーリーは、個人的には嫌いじゃないけどちょっと陳腐かもしれないし、先が見えるカンジもあるし、設定も“強引じゃない?”って部分があったりもするけど…やっぱ、これぞ作者の筆力、っていうものなんだろうなあ。それでも違和感なくぐいぐい読ませてくれちゃう。この作者の“読ませる力”は、ホントにすごいと素直に思えました。ほかの作品もゼヒ読んでみたいです。