『幕末新選組』


 『幕末新選組<新装版>』(文春文庫)/著者:池波正太郎


この物語を平たく端的に表してみるなれば、“永倉新八一代記”ってなとこでしょうか。ご存知、新選組二番隊組長である永倉新八を主人公に、彼の幼少期から晩年までを綴った物語。“ご存知”とはいいながら、しかし超有名どころの局長や副長や一番隊組長などのビッグネームに隠れてイマイチ目立たない存在である永倉新八が、よもや、これほど強さと男気に満ち溢れた魅力的な人物だったとは。それを存分に教えてくれる一作でした。これを通して彼の姿を想起すれば、彼なくしては新選組も、ここまで皆のヒーローたり得なかったかもしれないとさえも感じられるほどに。…まあ、事実その通りであるんですけれどもね。維新後まで生き延びた彼の尽力があればこそ、新選組は、ただの逆賊に貶められることを免れたと思えますから。この作品を読んだことで、それまで名前だけ知っているというだけの存在だった永倉新八を、改めて、幕末を生きた新選組隊士のひとり、という確固たる人物像を得ることができたような気がします。やはり日本のサムライの生き様はカッコイイな!
…余談ですが、お恥ずかしながら、この作品が私の、初・池波正太郎作品、です★(^-^;)