『ラヴァーズ・キス』


 『ラヴァーズ・キス』(小学館文庫)/著者:吉田秋生


映画『ラヴァーズ・キス』を観て、『海町diary』を再読して…しまったらば、やっぱどうしても原作『ラヴァーズ・キス』が読みたくて。本屋に行ったついでに見かけた途端、思わず衝動買い★(^-^;) ――という事情で、ちょー久々の再読となったワケですが。なんていうんでしょうね…これは、なぜかわりと“残る”んですよね私的に。他の吉田秋生作品と比べて、とりたてて面白いというワケでもないんですが。言ってみれば、単なる高校生の、ちょっとアブノーマル入った恋愛モノ、ってだけの作品ですしね。“面白さ”だけで云うなら、インパクトの強いハードボイルド系な『BANANA FISH』や『YASHA』の方がグッとくるし、心に響くあたたかさ、というものを求めるなら『海街diary』の方がずっと強い。なのに、なぜか…この『ラヴァーズ・キス』は、淡々と心に残るカンジがあるのですよ。だから、何度も何度も読み返したくなる作品、ではないけれど、時たま思い出したようにフッと読みたくなる作品、では、あると思います。この作者は、きっと“見えないもの”を描くのが上手いんだろうなー。その上手さに知らず知らず惹かれてるんでしょうね、私は。


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